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2009.03.03 *Tue

ニール生誕記念小説「最愛のひと」

ぎりぎりすべりこみになってしまいましたが、ニール生誕記念SSです!
この話は本編沿いの話となっています。
ティエリアの独白という形なので、ニールはでてきません。
それでもよいという方は追記よりどうぞ!*ちょっぴり修正を加えました。


あ、それとディランディ誕生日の後夜祭的なモノ、また後日うpします!
流石に誕生日記念にこれはどうよ?というものになってしまったので…(!)

******************

 さらさらと静かな土地を覆う霧のカーテンのなか、僕は墓前に佇む。そして彼が好きだったと言う青いバラの花束をそっとその墓石へと備えた。
「誕生日おめでとうございます、ロックオン…いいえニール・ディランディ。」
 彼が生きていたら今年で28歳だ。死んだ者の年を数えることほど虚しく、悲しいものはないと自分でも分かっている。だが僕は毎年増えていく彼の年を数え、そして3月3日にはこの地へと足を向ける。
 これが人間、か。理性で理解していてもこの厄介で複雑な感情を抑えることはできない。
「本当はフェルトも来たいといっていたが…システムの構築に忙しくてこれなくなった。」
 ここにはいない、貴方の姿を思い描きながら墓石に語りかける。
「だから、せめてこれだけでも、と。」
 そっと墓前に小さな袋をそなえた。シンプルな包装の中には、不恰好な形ではあるがクッキーが入っている。それはフェルトの記憶に残るレシピを元に、菓子作りなんてしたことのない僕とフェルトの二人が試行錯誤して作ったものだ。そのレシピはフェルトがかつてクリスティナ・シエラに習ったものであり、どうしても作りたいと彼女たっての提案だった。

―「クリスが生きていた頃、いつか一緒につくろうねって…約束したの。」

 そういってフェルトは懐かしげに目を細めて笑った。クリスとの思い出は悲しいものではなく、彼女の中で大切な思い出と昇華したようだった。トレミーのメンバーで誰よりも明るく、女性らしい優しさや気遣いをもっていたクリス。かつての僕は、そんな自分と正反対の彼女とはあまり会話をすることがなかった。モレノ医師やリヒテンダール・ツエーリもそうだ。もっと彼らと話をすればよかったと今更に後悔している。
 武力介入をしていたあの長い期間、僕はいつも「イノベーター」として計画を成功させることだけを優先して人との交流をいつも拒んでいた。それどころか人間を愚かな生き物だと見下していたのだ。それを今はとても恥ずかしく思う。
 
人間は不完全で、利己的で、過ちを何度も繰り返す―…だけど、とても優しくて温かい。

「貴方がいたから、僕は人間でありたいと、そう思うようになったんですよ。」
 ヴェーダを失い、僕のせいで貴方を傷ついたあの時、僕の心には冷たい雨が降り注いでいた。指先から体温を失っていき、世界から色が光が消えてなくなっていくような―暗い雨の中、どうすればよいのかわらずに僕は呆然とただ泣いていた。
 そんな時に貴方は僕の前にあらわれた。傷ついた身体で無理をしてまで。そして貴方は僕を罵ることも、非難することもなく…何でもない風に笑って僕を許してくれた。
―「失敗することもあるさ。人間なんだからな。」
 僕の心の雨に傘をくれたのは貴方だった。
 差し伸べられた傘は大きく、貴方の笑顔はまるで陽だまりのようで、冷たく冷え切った私の心をそっと優しく暖めてくれた。あの時から僕は…私は「ティエリア・アーデ」という「人間」として世界と向うことを望んだのだ。だが、貴方は私が変革していく姿をみることなく―
 不意に貴方と交わした会話を思い出し、目元が熱くなるのを感じた。

―「そういうことができるのも人間なんだよ。」
―「お前が認めないなら、ヴェーダが認めないなら、俺が認めてやる…お前はガンダムマイスターだ!」
―「一人で戦おうとするなよ、不安な時もあるさ…人間なんだからな。」
―「いつまでそうしているつもりだ…らしくねぇなぁ。」
―「気遣い感謝するよ…だがなぁ今は戦う!」
―「お前は死なない…俺が死なせやしないさ。」
 
 何年たっても私の記憶の貴方は色褪せることがなく、今も鮮やかに思い出すことが出来る。その笑顔から温もり、息遣いまで…全てを覚えている。
 なのに貴方はもう、ここには―
「…っ…もっと…貴方と一緒にいたかった…貴方に生きていて欲しかった…っ」
 頬を熱い雫が伝うのを感じながら、私はかすれた声を搾り出すように呟く。それは私の心から零れた素直な願いだった。
「…っ、駄目だな、折角の貴方の誕生日なのに…」
 波立つ心を鎮め、ぐっと目じりの涙を拭う。貴方の誕生日くらいは笑っていたいのだ。貴方が生きている間にもっと笑えばよかったと、ふと思った。あの頃の私はいつも不機嫌な顔しかしていなかったから。そんなことを考える私を貴方は「ばかだな」と笑うだろうか。そんな事を考えていたら自然と笑みがこぼれた。
「不思議ですね。貴方のことを考えていると、とても胸が痛くて辛くなるし、とても優しく温かい気持ちにもなれる…」
 このころころと変わる感情も人間だから…なのだろうか。その疑問に答えてくれる貴方はもういない。

「そうだ、ニール。私から貴方への誕生日プレゼントはまだ渡せそうにもない。」
 貴方が生まれたことへの感謝を贈るなら、貴方が最後まで望み続けていたものを贈りたいと思ったのだ。それを成すにはまだ時間が掛かりそうだ。だが、それでもいつか必ず貴方へと贈りたい。
「…テロや戦争で泣く子供のいない、そんな平和な世界を…貴方へ。」
 だからいまは、とそこで私は言葉を切る。そして墓前に膝をおり、冷たくなった両手を合わせて祈るように瞳を閉じた。

 これは死者への祈りではなく―

「…私の心を貴方に捧げよう。」
        
 大切な人への誓いの言葉。

 

 生まれてきてくれてありがとう、ニール。
 ずっと、ずっと愛しています。   
 私の最愛の人―


END

初心にかえって本編妄想小説!
KO/H+の「最/愛」という曲をモチーフに書いています。
作中の台詞は本編とゲームででてきた台詞を引用してします。
「お前は死なない、俺が死なせやしないさ」の破壊力はやばかった、本当にやばかった。
このSSを書くに当たり1期21・22話をみなしたのですが…
ニールとティエリアの関係がやっぱり大好きだ!と再確認しました。
何回見ても庇うシーンでの「ティエリア!」というニールの叫び、「俺が寝てると気にする奴がいるからな。あいつは強がってても脆いかんな…」のニールの優しい表情がたまらない。

ニールが、ティエリアが、そしてロクティエが大好きでよかったなぁ。

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